（一社）教育アライアンスネットワーク 堀川直人 代表理事

一般社団法人教育アライアンスネットワーク（東京都品川区）の堀川直人代表理事が、2023年の活動を振り返り、目まぐるしく変化する学習塾業界を取り巻く環境において、今後の各塾における経営判断につながるような情報提供や、塾運営のサポートの拡充について語った。

オンラインセミナー中心に内部充実に努めた1年

「学習塾業界にとって、まさに激動と試練の1年でした」と堀川氏は語る。
「春先の生徒募集に苦戦し、高校受験の倍率低下や人材不足の課題、さらには物価高が重なって非常に厳しい1年でした。こうした現状を踏まえ、NEAはこれまで以上にオンラインセミナーの精度を高めてきました。そして、指導現場における持続的な教務の質の向上を目指し、オンラインセミナーを中心にトレンドに合わせた有益な情報やサービスの紹介・提供など全国の塾のサポートに努めてまいりました。
会員数が増加する中で、今後もベンダーとの連携の架け橋となり、サービス面のマッチングを図りながら、各塾のお困りごとを解決できるサービスを積極的に紹介したいと考えています」

2023年は業界のトレンドをうかがい知ることができる大規模なセミナーも複数回にわたって開催。NEA会員の満足度を重視して内部充実を図り、会員限定オンライン学習会を年間8回開催し、のべ912名が参加した。
テーマは「教務と営業の両輪強化で新たな顧客を掘り起こす！」「英語教育の現状とこれから」「今、塾は何を発信し、魅力を高めるべきか？」といった実践に即した内容だ。また、経営者をターゲットにしたテーマのセミナーも開催している。
「昨年11月にはやる気スイッチホールディングスの高橋代表を招いてオンラインセミナーを開催しました。教育業界がどのように進化していくのかという今後の展望および、大手メディアのTBSへのグループインによるシナジーについて語っていただきました。高橋氏が塾業界で講演をされたのはNEAが初めてとなり、私自身も大きな手応えを感じています。
これからのM＆Aの形とも言えるようなグループインについてのお話は、塾業界全体にとって新しい選択肢を示していただく内容でした。今後も、大手塾や注目の企業の方を招いた講演を増やしていきたいと考えています」

年間受検者数は約10万人
「あすがく」がリニューアル

「明日の学力」診断（以下「あすがく」）は2024年度からリニューアルして内容がアップデートされる。堀川氏はより一層、「あすがく」の普及に尽力するとの方針を示した。
「学力の向上において非認知能力がますます注目されている今だからこそ、従来の学力テストに加えて、子どもたちの『学ぼうとする力』を可視化できる『あすがく』が、各塾の新サービスとなるべく普及に努めてまいります」
具体的には、中高一貫校受験や高校入試の思考力問題の対策にも活用され、大学入学共通テストの対策にもつながると評価される「学ぶ力・学んだ力」調査がリニューアル。日常生活と関連する身近な場面や条件を設定した問題で、より大学入試改革に沿った内容となる。
「『学ぶ力・学んだ力』は『情報（活用力）』を追加し、問題解決能力を問う記述問題は、今までの『自分の考えを書く』から『自分の考えを相手に伝える』に変更されます。
また、個人成績表は『学ぶ力・学んだ力』調査と『学ぼうとする力』調査の結果と、クロス分析結果で構成されていましたが、『学ぼうとする力』では非認知能力（7つのココロ）を、ルーブリックを活用して評価します。
これからの入試や受験以降の力も高めていけるような『あすがく』のアセスメントで、受験の物差しでは測りきれない非認知能力を図る狙いです」

さらなる情報提供の継続とオンライン活用を準備中

2024年はオンライン学習会やセミナー以外にも、「教育情報紙コレイマ」の発行やメルマガ「教育NOW！」の配信などに力を注いでいく意向を、堀川氏は強調する。
「メルマガやSNSをさらに駆使して、タイムリーな教育情報の発信を強化していきたいと考えています。
2023年に『コレイマ』は最新の教育情報を年間6回発行しました。加盟塾にはデータも提供し、自塾から生徒・保護者への情報提供素材として2次利用ができる等の点がご好評をいただいております。
また、メルマガ『教育NOW！』は毎週1回の配信でトピックスを提供しています。これはNEA会員以外も登録可能です。学研教育総合研究所にご協力いただき、日々発信される教育情報の中からよりすぐりの情報を配信し、学習塾だけでなく教育に関する政府の動きや学校教育に関するトピックスも豊富です」
さらに、オンライン授業の配信も検討中だ。「さまざまな選択肢がある中で、その1つとしてハイブリッド型の学習塾の提案をしていきたい」と堀川氏は意気込みを語った。
「2024年は、さらなる教育サービス向上のためにご利用いただける情報提供の継続とオンラインの活用を準備中です。オンラインセミナーだけでなく、特にメタバース空間を利用した生徒・保護者との新たな関わり方なども積極的に情報発信していきたいと考えています。オンラインの活用やメタバースに関心がある方は、ぜひお問い合わせいただければと思います。そして今後の発表にも、ぜひご期待ください」