2024年度大学入学共通テスト 英語試験の読解問題の難化など「英語を読む力」に再び注目が集まる昨今、株式会社サインウェーブ（赤池雅光 代表取締役社長、東京都千代田区）は4月18日（木）、人事・研修・教育関係者を対象に、これからの英語教育における「多読多聴」をテーマにオンラインセミナーを開催した。
プログラムは、安河内哲也先生の基調講演に加え、安河内先生と賀川洋氏（IBCパブリッシング株式会社 代表取締役社長）のスペシャル対談、ラダーシリーズを活用した英語学習、社会人・大学生向け英語学習アプリ「ELSTRBiz」を使った学習法と盛りだくさんの内容。「英語教育」と「異文化コミュニケーション」のトップランナーにグローバル時代に必要な英語教育について学んだ。

＜基調講演＞
スキマ時間を最大化する「多読多聴」と英語学習法
一般財団法人実用英語推進機構 代表理事
安河内 哲也 氏

■プロフィール
安河内哲也氏は、英語教育の普及活動を通じて、多くの生徒や社会人に英語を楽しみながら学ぶ方法を教えている。
著書や講演活動を通じて実用英語の普及にも力を入れている。

これからの英語学習について「多読多聴」の新しい観点からお話しします。皆さん、スキマ時間をチェックしましょう。食事中、トイレや通勤・通学中はどうですか。イヤホンは耳に入ってますか？ それが「多読多聴」の第一歩です。コーヒーブレイクにはAudibleやChatGPTをフル活用できます。待ち時間、ウォーキング・エクササイズ中は、ヘッドフォンを身に着けて歩きながら聴くこと。ドライブ中、入浴中、寝るまでのスキマ時間5分もバカになりません。現代人はめちゃめちゃ忙しいですから1日30分勉強しましょうと言われても時間がとれない。勉強は時間をとってするものではなく、スキマ時間にするものなのです。高校生も同じです。
多読のことを英語でExtensive Readingと言います。多読で大事なのは普段やっているものより1ランクか2ランク下で興味の持てる楽しいものを選ぶことです。そして電車に乗ったら出して読む、帰ったらすぐに音を流すなど習慣化がすべて。分からない英単語は調べるのではなく前後の内容から推測するように心がけてください。皆さんはChatGPTを使ってますか。ChatGPTは、どんな質問をしても膨大な量の回答が得られます。しかし、すべて正しいわけではないため精査しなければなりません。共通テストの問題もまた、ものすごい分量になっており、速読・多読できないと対応できない時代になっています。
重要なことは、リスニングとリーディングを融合的に学ぶこと。ある程度意味がわからないと聞き流しは雑音になってしまいます。エンタメを取り入れて娯楽化することも大事。歌でも英語でもスマホをフル活用し、1日1時間を目指して英語を聞くことです。活躍の舞台は世界。楽しい人生を送りましょう。

＜スペシャル対談＞
「多読多聴」で英語が話せるようになるのか？
～世界に打って出るプレゼンの技術～
一般財団法人実用英語推進機構 代表理事
安河内 哲也 氏
IBCパブリッシング株式会社　代表取締役社長
賀川 洋 氏

（以下、敬称略）

安河内　「多読多聴」が重視されている背景は？
賀川　英語になじむこと、しゃべること。英語をしゃべる力を付けることが求められています。日本人は本を読むとき前書きから順に読みますが、興味のあるインデックスから読むといいんです。情報をとりたいところから先に読む。調べたいことがあったら5、6冊選んでインデックスだけ読む。多読は、頑張って最後まで読まなくていい。飛ばしていいんです。個性に合った読み方をしてください。
安河内　日本の英語教育に足りないものはなんでしょうか？
賀川　発話量ですね。自分の意志をしっかり伝えること。リスニングにも関係あります。
安河内　インプットはアウトプットにつなげないとダメということですね。多読多聴では英文法は勉強しなくてもいいんですか？
賀川　中2から中3までの文法は受験テクニックを身に付けるためには必要かもしれませんが、一度受験テクニックをリセットする必要があるかもしれない。大事なことは、リセットしたときにマインドセットを変えないことです。答えはいくつもある。いろいろな言い方があるんです。ちょっとした単語を使うときに自分なりの色をつける。正解は一つではありません。そういう意味でも多読多聴は大切です。
アメリカの文化ではわからないときは相手が話しているときにさえぎってもいいんです。
安河内　わかったつもりで話を聞いていて、実際にわかってなかったら相手に落胆されてしまいます。相手が息を吸い込んだ瞬間にさえぎって質問すると良いです。
賀川　ビジネスで大事なのは自分の意見を言うこと。レトリックが大事。生成AIは文化の違い、レトリックの違いまでは理解できていない。その場その場の文化をわかっていないといけない。

「ラダーシリーズ」を活用した英語学習について
IBCパブリッシング株式会社 代表取締役社長
賀川 洋 氏

学習者のレベルに合わせて、「はしご（ladder）」を一段ずつ登ようにステップアップできる「ラダーシリーズ」の特長と学習法をご紹介します。ラダーシリーズは、使用する単語を限定して易しい英語で書き改められた多読・速読に最適な英文リーダー。巻末のワードリストにより辞書なしでどこでも読書が楽しめます。
例えば「星の王子様」は小学生のように読むのではなく、背景を勉強してほしい。著者のアントワーヌ・ド・サン＝テグジュペリは飛行士であり、1935年のサハラ砂漠での飛行機墜落事故を経験。この体験が作品に影響を与えたとされています。知っておくと読みたくなりませんか？ ウイキペディアで興味を持ったものを英語のインデックスにして調べながら読み進めるうちに話題の引き出しが増え、会話でも生かせるようになります。好奇心のままに乱読してください。自分の思っていることをどんどんしゃべる。4技能と言いますが、肝心なのは『人間力』。知識を付け、それを思い切ってしゃべり、海外とわたりあう。ぜひ「ラダーシリーズ」を活用し、多読多聴を頑張っていただきたいです。

スキマ時間を活用する「多読多聴」をサポート！
「ELST® Biz」を使用した英語学習について
サインウェーブ コンテンツ開発部 部長
澤井 亮平 氏

弊社は、自社で音声認識・採点エンジンを自社開発。音声技術に強みを持ったIT企業です。「AI技術で日本の英語教育の一助になる」を目標に教育関係や英語のアプリを開発しています。
スキマ時間を活用する多読・多聴、それをサポートするツールとして私たちが開発しているELST®は、英語Listening＆Speakingの学習において授業前・授業中・授業後の様々な場面で活用できます。「ELST® Biz」はAI自動採点でTOEIC®L＆R TEST対策と英語4技能の学習ができる社会人・大学生向け英語学習アプリケーションです。
すべてのELST®の中に、ご紹介いただいた「ラダーシリーズ」が160冊ほど読み放題で入っており、アプリケーションを開けばいつでもアクセス可能。スキマ時間に音声を聞いたり、電車の中で「ラダーシリーズ」を読むことができます。