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    第21回全国塾長・職員研修大会
    (株)ステップ 龍井郷二 代表取締役会長による記念講演
    「人を大切にする経営」

全日本私塾教育ネットワーク
第21回全国塾長・職員研修大会
(株)ステップ 龍井郷二 代表取締役会長による記念講演
「人を大切にする経営」

2024-06-03

4月21日(日)、全日本私塾教育ネットワーク(田中宏道理事長 以下、私塾ネット)主催による第21回塾長・職員研修大会が、きゅりあん(品川区立総合区民会館)で開催された。
第1部は、株式会社ステップ 代表取締役会長 龍井郷二氏による記念講演&研修。龍井氏が「人を大切にする経営」と題して、地域密着型の教室運営を行い、質の高い授業を提供し続けている理由などを語った。その後、講演の振り返りと情報交換。参加者が意見を熱く交わしたあと、第2部の懇親会へと移った。

<第1部 研修大会>
オープニング/主催者挨拶 ご来賓祝辞

[左上] 私塾ネット 田中宏道 理事長  (LAPIS 鎌ヶ谷代表) [右上] 私塾ネット 仲野十和田 研修部長  (ナカジュク代表) [左下] 大島九州男 参議院議員 [右下]  全国学習塾協働組合 森貞孝 理事長

[左上] 私塾ネット 田中宏道 理事長 (LAPIS 鎌ヶ谷代表)
[右上] 私塾ネット 仲野十和田 研修部長 (ナカジュク代表)
[左下] 大島九州男 参議院議員
[右下] 全国学習塾協働組合 森貞孝 理事長

第21回塾長・職員研修大会は、私塾ネット研修部長の仲野十和田氏(ナカジュク代表)による司会進行で開幕。主催者挨拶は、同理事長の田中宏道氏(LAPIS鎌ヶ谷代表)。「この大会がこれからも子どもたちの未来に大きく活かされることを期待しています」と述べた。
来賓祝辞は、全国学習塾協働組合理事長の森貞孝氏。「少子化によって塾業界にも厳しい淘汰が起きるでしょうが、この困難を乗り越えれば、後の経営は楽になるはずです」とエールを贈った。続いて参議院議員の大島九州男氏が登壇。「塾の先生方の能力やノウハウを、国の力に変えることを目標に、私は今、様々な準備を重ねています。先生方がよりいっそう教育に情熱を注いでくださいますよう、心よりお願い申し上げます」と述べた。

ステップを語る

(株)ステップ 遠藤陽介代表取締役社長と社員2名のインタビュー動画が紹介され、遠藤社長は同社を「生徒を全力で応援したい教師が集まり、営業をせずに授業に専念できる塾」、龍井郷二代表取締役会長については「生徒と保護者のことを真剣に考え、信頼という無形の財産を大切にしている人」と語った。
続いて、湘南ゼミナールの創始者であり、現在(株)ステップ 社外取締役を務める木島文義氏が登壇。「ステップにあって湘南ゼミナールになかったものが2つあります。1つは、広告よりも教務力の強化が最大の営業だとシンプルに捉え、余計なことはしないこと。もう1つは授業を強みとして、その強みを仕組み化し、継続的に組織の文化や風土にまで落とし込んでいることです」と述べた。

記念講演「人を大切にする経営」

次に(株)ステップ 龍井郷二 代表取締役会長による記念講演「人を大切にする経営」がスタート。ステップは1975年、個人経営の塾であるステップ学習教室としてスタートし、1995年に株式公開して2022年に東証プライムに移行し、現在に至っている。教室は神奈川県のみ。中学部145スクール、高校部15スクールで、学童部門、個別指導部門を合わせて、約3万4000名の生徒が通っている。

正攻法で実績を出すことがなぜ可能?

龍井会長はその理由のひとつを「広告宣伝にお金を使うよりも、優秀な人材を集めることや、人材育成のためにお金を使っているからです」と返答。人件費は投資であり、スタッフの処遇の向上に資金を充てたほうが長期的なメリットがあると考えているのだ。

働きやすい職場にするための工夫は?

(株)ステップ 木島文義 社外取締役

(株)ステップ 木島文義 社外取締役

「私たちは授業が好きだという社員を生徒や保護者の方々同様に最大の財産だと考えています。そこで、授業が好きだという社員には授業以外の業務を極力減らして、予習や教材づくりなど授業の準備に集中できる環境づくりをしています」と述べる龍井会長。
また、生徒に向けたアンケートや合格実績などにより、社員の授業力を評価する仕組みづくりにも力を注いでいるという。
「女性の戦力化も積極的に進めています。本部スタッフの6割以上、教材制作のスタッフの9割以上が女性です。女性教師が育児休暇に入って復帰したあとは、昼間の勤務に就いていただきます。
事務系では、育児休暇から復帰した女性スタッフは70名を超え、今や本部の主力となっています。育児と両立して安心して休める体制も整えています。出産後も退社せずに継続して経験を積み重ねることで、強い戦力になっていただけるからです」

社員のモチベーションを上げる方法は?

(株)ステップ 龍井郷二 代表取締役会長

(株)ステップ 龍井郷二 代表取締役会長

龍井会長はその1つを「生徒を伸ばした教師が評価される環境、そして指導技術に優れた教師がリスペクトされる文化をつくることです」と述べた。
「多くの生徒が勉強の面白さを知り、自信を持てるように指導できる教師の処遇は、学習塾業界の中で高水準といえるものにしています。給与曲線は入社後約4年間で急激に伸びるように設計しています。
さらに給与だけでなく、メンタル面でも自分がしっかり評価されていると実感できる体制を目指しています。

私塾ネット 湯口兼司 副会長(湯口塾)

私塾ネット 湯口兼司 副会長(湯口塾)

社員には長期的に見て専門職の方が力を発揮できる人と、管理職として力を発揮できる人がいます。そこで、管理職系と専門職系の2つの選択肢をキャリア形成の一環として設けています。例えば、教材制作が得意な社員もいます。ある社員は上智大学が開発した英語力診断テストのTEAPを開始以来、すべて受け続けています。その社員は受検するたびに問題を記憶し、受験会場から戻って問題作りに活かします。こうした社員は、教材制作の能力を活かし、自分の仕事に誇りを持てるようにしています。そのため、転職・就職サイト『OpenWork』では1300万件を超える口コミの中で、昨年、私たちステップが『士気の高い会社』の全国4位にランキングされています。ステップには授業が好きな社員が集まり、上司や先輩社員から大切にされ、応援されています。ステップに入社すれば、一番やりたい仕事に集中でき、モチベーションが高まっていくことを目標にしています。

高校部が伸びている理由は?

「現在、高校部15スクールの生徒数は約6400名で、少ない校舎で300名弱、多い校舎では1000名を超えます。その90%以上が公立高校の生徒です。このように公立校の生徒に的を絞っていることが高校部が伸びている理由の一つです。公立校には高3の夏や秋頃まで部活動に打ち込みながら、難関大を受験するようなエネルギーにあふれた生徒がいます。私たちは、こうした公立校の状況をよく知り、その実態にそくした合理的な指導を心掛けます。生徒のエネルギッシュな姿勢を尊重し、勉強と部活動を両立できるような指導内容やカリキュラムをつくっているのです」
大学合格者数については、このように述べた。
「私たちステップは大手予備校全体の合格者数には対抗できませんから、校舎単位の合格者数でライバルと勝負します。藤沢校なら藤沢地域の合格者数で相手を凌駕することを目標にしています。その地域のライバル校と勝負できる技術を全社員が一丸となって磨いていることも高校部が伸びている理由の一つと言えます」
そして龍井会長は「2040年代の展望」として、人口増加地域に重点を置いたスクールの再配置を進めていくことなどを語った。

その後、質疑応答に続き、講演の振り返りと情報交換へ。
最後に私塾ネット副会長の湯口兼司氏(湯口塾)が「なぜ、私がここで謝辞を述べさせていただくことになったかと申しますと、私が最も龍井先生を尊敬しているからだと思います」とユーモアを交えながら謝辞を述べ、第1部は終了し、第2部の懇親会へ進んだ。


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