AJC(全国学習塾協同組合)森貞孝理事長の最新教育情報 第85回
生成AIをどう使うか?
このところ連日のようにDX関連の新しいニュースと、生成AIのニュースがマスコミを賑わしている。DXに関しては全国の自治体が積極的に企業に対して支援したり、補助金を出したりしてDX化への動きを進めている。いわゆるリスキリングで今の時代に合ったICTを導入して使いこなしていかないと遅れてしまうことに都道府県の自治体が支援をしていく。例えば東京都では都が中心になって、各企業にどういった種類のデジタル化を図るのがいいのかを一緒に考え専門家をつけて指導してくれる。そのための経費はすでにあるソフトを利用する場合を除いてかからない。中小零細企業もデジタル化に積極的に取り組みなさいというわけだ。
それだけでなくそのための10種類以上の補助金を使えるようになっている。7月の初めには首都圏のすべての県が我先にと一斉にDX推進に舵を切った。
政府にデジタル相がいて、あと数カ月で保険証からマイナンバーへ切り替えると言い続けている状況もあり、致し方ないのかもしれない。
先日東京都のでじナビの担当者と話をした。学習塾も含めてほとんどの業種の企業が、手を付けているところはどんどん進んで取り組んで、躊躇したりまだ早いと考えているところは全く手を付けていなくて、その格差が大変大きいという。
この動きはどうなるのか、そして企業は大混乱の中でどのような経営をしていくのか。思案のしどころだ。当組合は9月4日、5日の2日間にわたってオンラインでDXの導入をテーマにして、生産性向上支援訓練を実施する。現状を知りたい方はぜひご参加いただきたい。詳しくはAJC事務局(03-5995-6565)へお問い合わせを。
生成AIの各社の動きも目まぐるしい。
2022年の年末から始まった生成AIの騒ぎはまだ2年も経っていないのにものすごい進化を遂げ世界中に大きな影響を与えた。昨年1月マイクロソフトがOpenAI社に100億ドルの巨額の投資をして、そこから生成AIが一気に動き始め、マイクロソフト社がBing、GoogleがBardを公開、世界中が生成AIに狂奔した。そして次々に新しい機能が可能になる中で、マイクロソフト社がCopilot、Googleが最新の生成AI「Gemini」を12月にそれぞれ発表している。このあまりにも短期間に飛び込んできた生成AI、もう身の回りにいっぱいあるように見えるのだが、実際に使いこなしている人はほんのわずか。20%にも満たないと言われている。さらに昨年6月に日本でGoogleの天才技術者2人が中心になって立ち上げたSAKANA AI社。その時点で私のコラムでも取り上げたが、わずか1年で急成長を遂げ、国内の大手企業と提携してものすごい伸びを見せている。
客観的にみると、生成AI関連の技術は現在「過度な期待のピーク期」にあると言われている。
この勢いで2年後は大きく変化が進むのか、あるいは期待が外れて幻滅期に入るのか、テクノロジーの激しい変化の未来は見通せない。しかし日本の大手企業は今一斉に担当の部署を設けて真剣に取り組んでいる。直視して、実際に自塾にどういう影響があるかを見極めて、対応策を練っていくべきではないのか。