毎年、算数オリンピックに驚異的な数の受賞者を輩出するりんご塾（田邉亨代表、滋賀県彦根市）。このりんご塾と城南コベッツ（下村勝己代表取締役、神奈川県川崎市）は業務提携し、算数に特化した指導を提供している。その一つが、りんご塾 赤羽南教室だ。対象学年は、年中から小2まで。小3以降は持ち上がりの生徒のみ受講可能だ。
塾長は予備校の数学講師として高校・大学に出講するとともに、城南コベッツ赤羽南教室で中高生を指導してきた長谷大輔氏。開校3年目にして算数オリンピックキッズBEE大会で小3の2名が決勝進出を果たした同塾の特色を長谷大輔氏に伺った。

算数検定10級に合格した園児も

りんご塾赤羽南教室 塾長・数解社 代表取締役　長谷大輔 氏

「私は長年、予備校の数学講師として多くの生徒を指導してきました。その中で『算数の基礎』と『思考のしかた』をしっかりと身につけることが、その後の学力向上や論理的思考力の育成に非常に重要であることを実感したのです。特に小学校低学年の段階で算数の苦手意識を克服できれば、その後の学習をスムーズに進められ、将来においても大きなアドバンテージになるはずです。
そう考えていた私が深く共感したのが、算数が大好きな子どもたちに向けたりんご塾の教育理念です。
そこで私は滋賀県にあるりんご塾の彦根本部校を訪れて授業を見学し、田邉代表と直接お話をさせていただきました。東京に戻ってからは、りんご塾のお茶の水校と吉祥寺駅前校も見学させていただきました。その結果『私たちでもやれるかもしれない』と確信し、私が運営する城南コベッツ赤羽南教室内に併設する形でりんご塾を開校することを決めました」
りんご塾赤羽南教室は開校3年目にして、算数オリンピックキッズBEE大会に生徒が初出場。小3の2名が決勝進出を果たした。また、算数検定の合格率も高く、受検者のほぼ100％が合格を達成。年長で小2レベルの10級に合格した幼稚園児も数名いるなど驚くべき成果を上げている。

授業の様子

「りんご塾の目的は算数を通して論理的思考力や問題解決能力を育むことです。保護者の方々からは『りんご塾に通う前は子どもが算数でわからないことがあると、すぐに答えを聞いていました。でも、通い出してからまったく聞かなくなりました。答えを知るより先に、どうすれば答えを導き出せるのかに重きを置くようになっているのです。この成長ぶりに驚きました』というお声をよくいただきます」
生徒数は着実に増加し、現在では約20名の生徒がりんご塾で学んでいる。地域の評判も高く、口コミや紹介を通じて新規生徒数も順調に伸びているという。

2カ月で大きく変化する生徒たち

算数オリンピック壮行会

「算数オリンピックでの好成績と、田邉代表が出版している著書の数々が、りんご塾の知名度向上に大きく貢献しています。そのため、私たちの教室も多くの方々から関心を持たれています。最近では上野や南千住など近隣地域以外からの問い合わせも増えてきました。最も遠いところでは千葉県松戸市から問い合わせがありました。既存の城南コベッツではあり得ない商圏だったので驚きました。ホームページのアクセス数も増えています。
保護者からは『子どもが算数を好きになった』『算数の成績が大幅に向上した』『自信を持って学習に取り組むようになった』といった喜びの声をたくさんいただいています。
また、授業の後に保護者と一緒に帰ろうとする生徒が『りんご塾、楽しい！』『明日も来る！』と話している声をよく耳にします。授業がない時に教室に立ち寄る生徒もいます。その姿を目にするたびに開校してよかったと心から思えます。
さらに生徒たちの様子を見ていると、わずか2カ月で大きく変化することを実感できます。椅子に座っていられなかった子どもが、椅子に腰を下ろし、真剣な眼差しで問題を解こうとしているのです。
りんご塾の授業時間は80分です。小さな子どもたちが長時間集中して勉強している姿を見ることで、城南コベッツ赤羽南教室に通う中高生の勉強に対する意識も変わってきました。刺激を受けて『僕たちも頑張ろう』『私も負けていられない』という気持ちになるのです」
では、りんご塾赤羽南教室ではどのような授業が行われているのだろうか。
授業の特長は、りんご塾オリジナル教材を活用した質の高い個別指導であることだ。この教材は算数オリンピックや算数検定で培ってきたノウハウを基に開発されている。遊びながら算数や数学の知識や考え方が身につく内容だ。子どもたちの理解度に合わせて段階的に学習できるよう、スモールステップで構成されている。
算数オリンピック対策は「答えが出た時、その答えの正誤に関わらず生徒に説明してもらう」「論理的思考力を養う問題に取り組む」「すぐに解けない問題を考え続ける持久力を養う」「過去問演習を行い、生徒の弱点を見つけ出す」「個々の生徒に合わせた問題を選定し、演習量を増やす」「模擬テストを実施し、解ける問題を解くということを体感させる」などだ。
算数検定対策は「合格に必要な計算力と知識を定着させる」「間違えた問題は必ず復習し、理解を深める」「過去問を繰り返し解き、問題形式に慣れる」「模擬試験を実施し、本番のペース配分を練習する」などである。
オリジナル教材以外に、算数オリンピックや算数検定の問題集なども使用。問題には、講師も生徒目線で一緒に解き、「考えることを楽しむ」「最後まであきらめない」という姿勢を見せている。

遊びながら知識や考え方が身につく

長谷氏の教え子を学生講師として採用し、熱意あふれる指導を提供している

生徒を教えるのは学生講師だ。全員、長谷氏がかつて城南コベッツで教えた生徒たちである。「高校時代に大学を受験する過程で勉強することの意味を考えていたこと」、そして「コミュニケーション力があって明るく人当たりの良い性格であること」。この2点を基準に長谷氏は講師を選んでいるという。当初、長谷氏の胸には「子育ての経験がなく、子どもと接する機会の少ない学生講師がりんご塾で教えられるのか」という不安もあった。しかし、その不安も今では霧散したという。生徒が嬉々として授業に取り組んでいるからだ。
学生講師が常に心がけていることは「来校時の声がけの第一声目は、挨拶とそれ以外にひと言付け加える」「子どもと話す時は、必ず目線を同じ高さに下げて話す」「生徒が問題に夢中なら、黙っておく」「生徒の集中力が途切れた時、切り替えるための気の利いたひと言をいう」など。モチベーションの向上を重視しているのだ。また、毎回の授業の中で、講師が気づいたことを全員で共有するようにしている。

大学合格を見据えた先取り学習を

「私が今まで指導してきた大学受験生の数は、他の予備校や塾と比べても相当数であると自負しています。そのため、りんご塾赤羽南教室の独自の強みは、私の経験や知識を活かすことで、小さな子どもたちに高校範囲までの先取り学習を進められる点だといえます。
これまで城南コベッツ赤羽南教室は、大学受験まで指導できる個別指導塾であることを謳ってきました。このノウハウはそのままに、私がこれまで手がけてきた大学受験指導対策を幼児教育の段階まで落とし込み、りんご塾と城南コベッツを接続することで完全に大学合格を最終ゴールとする一貫した指導ができます。大学入試までの算数から数学への指導は、既存のどこの塾にも負けないつもりです。
りんご塾赤羽南教室で学んだ園児や小学生は、やがて中学受験塾へと移るでしょう。その際に中学受験塾の最大手の一番上のクラスに入れるような学力を、この教室にいる間に培いたいと考えています。
一方、私立の小学校や国立の附属小学校に通い、中学受験をしない生徒も在籍しています。このような生徒には、りんご塾で小6までに中3の内容を先取りしていきます。さらに余裕があれば高校の内容まで入ることが目標です。この話を保護者の方々にすると、非常に喜んでいただけます。
こうした先取り学習には、この教室で独自に収録した映像授業を使用する予定です。授業の解説は私が担当します。普段教室で接している大人が映像に出ているので、小学生でも集中して聞けると考えています。解説では『中学まで通用する考え方』ではなく『大学受験まで通じる、一貫した考え方や定義』を小学生レベルまで噛み砕いて伝えようと考えています」