[左から] 取締役本部長 坂元健良 氏、文系主任 六甲教室 副教室長 礒村慶佑 氏、支援部門長 竹内一仁 氏

兵庫県神戸市を中心に6教室を展開する京大ゼミナール久保塾（一柳光司代表、兵庫県）。40 年以上も続く老舗塾で英語指導に定評がある。（株）スタディラボ（地福武史代表、東京都）が開発した学習塾や学校向けのオンライン英会話システム「OLECO」を同塾が導入したのは2018年のこと。当時、兵庫県で初の導入塾となった同塾が対象としたのは小学校5、6年生だった。
導入から6年。英語は小学生から教科化され、英語4技能への重要性は年々増している。同塾が対象を小学生とした理由や導入の経緯、活用法、そして現在の状況を伺った。

きっかけは英語教育の改革と親会社での導入

弊社は名前の通り、創業者・久保が1981年に神戸市・御影にて創業。以降、40年以上、地域に根差し、地域の子どもたちの学力向上に貢献してきた中学受験と高校受験がメインの進学塾です。現在は阪神間に6教室を展開しております。集客はほぼ口コミか紹介ということもあり、地域の皆様に評価していただいているのだと自負しております。
OLECO導入のきっかけは2017年にウィザスグループ（生駒富男代表、大阪府）の傘下に入ったことです。ちょうど学習指導要領の改訂で英語教育の改革が叫ばれていた時期。親会社のウィザスでもその対応にOLECOの導入を決めた頃でもありました。ウィザスでスタディラボの地福代表の講演があり、参加した先で初めてOLECOを知りました。私も体験させていただくことになり、大勢が見守る中、講師の方と話すことになりました。最初こそ緊張していましたが、気づけば夢中で会話を楽しんでいる自分がいました。当時、オンライン英会話を行う事業者は他にもたくさんありましたが、教育施設に特化したものはOLECOのみ。学習指導要領に沿ったテキストをパソコンやタブレットに表示しながら、ネイティブ講師によるレッスンを受けることができるものは他にありませんでした。グループ指導になりがちな英会話において1対1というところも大きな魅力でした。
当塾は英語指導に自信を持っており、生徒や保護者からも高く評価していただいておりました。文法など、英語で必要なものは中学生のうちに徹底して学習するため、「高校では単語を覚えるだけで済んだ！」と生徒が言うほどです。ただし、それは以前の英語教育、すなわち「読む」「書く」に限った話であり、これから求められる「聞く」「話す」には対応できていなかったのです。これは絶対に必要になると考え、急ぎ、1教室でのみ導入することになりました。

音を聞き取る力に優れている小学生のうちから英会話を始めれば効果は歴然！

善は急げ！ とすぐに導入を決めましたが年度途中からだったため、最初は小学5、6年生向けのオプション講座としてスタートしました。対象を小学生としたのは音を聞き取る力に優れている小学生から始める優位性が第一ですが、当塾の事情もありました。先に述べたように当塾は英語指導に自信があります。小学校でも英語が教科化されるに当たり、小学生向けの英語指導が自ずと必要になりますが、中学生向けの英語指導をそのまま小学生に降ろせばいいというわけではありません。オリジナルのテキストとカリキュラムがあるOLECOは、小学生英語の指導に迷いがあった当塾がまさに求めていたものだったのです。OLECO導入前の保護者に向けた説明会にはスタディラボの担当の方が来てくださいました。英語教育の改革は保護者の耳にも届いていたため、すんなりと受け入れられたと思います。年度が替わったあとは対象を全教室へ広げました。

自信を持って勧められるコンテンツだからこそ必修に

授業の様子

全教室へ導入したものの、受講者は伸び悩みました。今にして思えばOLECOの必要性を訴えるのが足りていなかったのだと思います。自信を持って勧められるコンテンツにもかかわらず、これを使えば絶対に子どもは伸びるという確信があるにもかかわらず、保護者や生徒に決定を委ねてしまったことは失敗でした。英語の4技能は必須です。高校受験や大学受験だけでなく、グローバル化する社会に生きる子どもたちにとって、英語を喋れるかどうかで人生の幅が変わってきます。もっと4技能の必要性を、OLECOの必要性を訴えなければなりませんでした。

現在、OLECOは全教室で小学英語の授業に組み込んでいます。月4回の通常授業のうち、月2回はOLECOを使ったレッスンを行っています。子どもが緊張せずスムーズに会話ができるよう、その日に使うフレーズを事前に教室で練習してからOLECOのレッスンに臨むように変えました。最初こそ緊張し、構えていた子どもたちも今はスムーズにレッスンを楽しんでいます。
結果として英検への関心が高まり、受検者も合格者も格段に増えました。2022年度には中学2年生から準1級合格、2級へは小学生を含む17名の合格者が出ています。教室には文部科学省の習熟度レベルを参考に、5年生で5級、6年生で4級と、塾でも独自で目標を定め掲示するようにしたのですが、具体的な目標を提示することで学習への動機付けとなっているようです。

導入塾とベンダーで共にコンテンツを育てていきたい

OLECOの通常のレッスンとはひと味違ったTalk＆Playを先日、試験的に実施しました。神経衰弱やポーカー、ビンゴゲームなどを英語の進行で遊ぶといったもので、普段とは違う様子に戸惑いつつも楽しんでいたようです。今後はイベントでの活用や一定のカリキュラムまで到達した子にご褒美のような形で取り入れるのもいいと思いました。この話を担当さんにお話ししたところ、賛同してくださり、実現に向けてご協力いただけるとのこと。コンテンツを販売して終わり、ではなく、導入塾と共により良いものへと育てていこうとしてくださる姿勢をとても嬉しく思います。最後に、今後OLECOを導入される方にはオプション講座としての販売ではなく、通常授業に組み込むことをお勧めします。