第7回 玉井式全国研修大会 開催
特許取得の新製品 KIWAMI Tubuを発表
「世界で活躍できる人材教育」を提唱し、国語的算数教室や図形の極など子ども達が夢中になる教材を世界中へ提供している(株)タマイインベストメントエデュケーションズ (玉井満代代表取締役、以下、TIE社)は10月6日(日)、ホテルグランヴィア京都にて導入塾向けの研修会を開催した。2年ごとに開催されるこの研修会は今回で7回目。今年は導入塾の中から(株)アップと(株)全教研の2社が協力会社として事前準備から当日の進行まで研修会開催に尽力した。事例発表会や教材ごとにテーマ別の分科会や懇親会に全国各地から約200名が参加した。
参加者に笑顔が溢れる「玉井式ファンの集い」のような研修会
初めに協力会社の紹介を兼ね、両社の代表より挨拶があった。(株)アップの小南達男代表取締役は通常の研修会とは違い参加者の多くが笑顔であることに触れ、事業形態も会社も違うのにまるで皆が同じ会社の仲間だと思っているような、雰囲気に感じているという。(株)全教研の堀口宏吉代表取締役も今回の研修会を「玉井満代ファンの集い」であり、全国の先生方がどれほど玉井式を愛しているのかを競い合うような会だと表現した。
続いて導入塾を代表して(株)市進ホールディングス代表取締役会長の下屋俊裕氏、学校法人エンゼル学園理事長・勝見安美氏、(株)練成会取締役副社長・山本直樹氏らが祝辞を贈った。
■代表事例発表1
国語的算数教室小4コースについて
(株)練成会
練成会での事例発表は国語的算数教室の小4向け講座の開講についてだ。練成会の本部教室では小1~3年生向けに国語的算数教室を開講している。小4以降は本部教室で開講している講座は多くなく、継続への課題を抱えていた。そこで国語的算数教室小4コース開設を決断。本部教室在籍の小3生に案内したところ、本来であれば「継続しない」としていた生徒達が「玉井式ならば」と継続を決めたのだ。4年生からの学習も3年生までと構成が大きく変わることはないが、5年生や6年生の単元も入り、トレンドの文章も含んだ高度な内容となっている。そのため、ホワイトボードを使って授業形式で子ども達と一緒に考える時間を設けている。まだ開講半年ほどだが、国語的算数教室で4年生コースの導入に迷っている塾があれば参考にしてほしいとのこと。
■代表事例発表2
子ども達のモチベーションを上げるために
(株)未来教育舎
静岡県庁の近くにある静岡本部校では玉井式国語的算数教室と図形の極、数の極、魔法の国語を導入している。近隣小学校の下校時間に合わせ、一番早い授業は14時40分開始。子ども達は学校から直接教室にやってくるので、先に宿題をするよう声かけしている。塾内に設置された低学年向けの遊びスペースにはおもちゃや本、小学生新聞が置かれ、入口付近には賞状を持った子ども達の写真が張り出されている。問題に正解したり発表したりするとポイントが貯まるポイントカード制や、ご褒美シール台紙の掲示、授業を頑張って受けた子へのお菓子プレゼントなど、プラスアルファの楽しみを設けている。入口付近の写真は実力確認テストで一定点数に達した生徒へ賞状を渡した際のものだ。ご褒美で釣ることへの賛否はあるが、できるようになる喜びや楽しさを感じながら勉強をしていってほしいとのこと。現在、100名の小学生が在籍しており、うち7割は図形の極や数の極も受講している。毎月6~7名の進級者が出るほど夢中になって取り組んでいるとのことだ。保護者に向けては子ども達の様子を書いたアプローチシートを渡し、保護者カウンセリングも3ヶ月に1度行うなどコミュニケーションも欠かさない。魔法の国語は夏に試験的に導入したところ、保護者からの要望が多く、9月からの本格導入に至った。
■代表事例発表3 魔法の国語への集客法
創造学園エディック
創造学園エディックは非受験の小学生および中学生を対象にした塾だ。春から導入した魔法の国語が思うようなスタートを切れなかったことで行った集客強化のための取り組みを紹介する。まずは任意だった魔法の国語を国語的算数教室とのセット受講に変更。他教科横断型の教材である魔法の国語の特性を活かし、より他分野への興味を広げる取り組みを親子参加型のイベントとして実施した。
魔法の国語に採用されている文章のテーマの中から軽めの話題を選びクイズにして少し深掘りしていくといったものだ。例えば、食事の前後にする挨拶の意味について触れた本文があれば挨拶についてのクイズ。外国語をいくつか並べ「挨拶と関係ない言葉はどれ?」といった感じだ。そこから本文を意識したクイズに移行し、最終的には続きの文を読めば正解に辿り着くことができるクイズにしている。お話創作に使う子や、もっと調べて発表したいと言い出す子がおり、ミニ企画として発表の機会を設けることになった。家庭でも話題に上るような声かけも行い、保護者も巻き込むよう心がけているとのこと。非塾生が対象のイベントを実施したところ、夏期講習への申込みが昨対110%に上った。
■代表事例発表4
国語的算数教室導入時の工夫
(学)蓮光学園パドマエデュケーションセンター
大阪市にあるお寺が母体のパドマ幼稚園附属のパドマエデュケーションセンターは小学生向けの学習施設だ。幼稚園の卒園生だけでなく地域の小学生も受け入れ。学童保育としても利用されている。今年4月に開校し、玉井式国語的算数教室を導入。現在は16名の子ども達が玉井式を受講している。
ここの特徴は合計120分の授業。前半は動画、後半は個別的サポートタイムとして、できたかなプリントを一緒にやるスタイルだ。最近は習い事を掛け持ちする子どもも多く、宿題として出してしまうと勉強嫌いになりかねないと、授業内で完結する形に落ち着いた。「できない」は乗り越えるチャンスとして向き合うこと、一人ひとりの成長を見つけて伸ばすこと、楽しく学ぶことを意識している。読解力向上のため、最初は先生による読み聞かせ、2回目は映像を見てイメージしながら聞く、3回目は自分で音読と、1回の授業でじっくり文章を読み解くようにしている。また「表現」の時間を多めに取っているのも120分授業だからこそできることだ。お迎えにくる保護者には5分間、その日の様子とともに、時計の読み方やお買い物に行った際の声かけなど日常生活に取り入れられる学びのアドバイスを伝えているという。
■代表事例発表5
年長向け国語的算数教室
(学)エンゼル学園 認定こども園 エンゼル幼稚園
愛媛の幼保連携型の認定こども園で0歳から就学前の6歳児までを対象にしている。年長児クラスで玉井式を導入。小学生向けの学童保育も実施しており、希望者にのみ玉井式を導入している。毎年80名ほどの卒園生のうち、7割が玉井式を継続希望するとのことだ。
玉井式導入14年目を迎えるが、長年使っていることで皆、同じような箇所で行き詰まることに気づいたという。デジタル絵本と紙の絵本の影響を調べた研究では、5歳児以降はデジタルでもストーリーの記憶には全く影響がないが、4歳以下では紙の方が良いという結果があることから園でも生年月日に注目し正答率を分析したところ、立方体を積み上げる問題などでは早生まれの子が圧倒的に不利だということが分かった。ブロックや積み木などの具体物を使い、モニターに映ってみるものを一緒にやってあげるなどサポートが必要だ。姉兄の有無や男女差でも違いがあったので、今後も指導方法を見直していくとのこと。近年は海外ルーツの子どもを受け入れることも多いが、ナレーションのマネをするなど、玉井式が日本語の習得に繋がっている。また、4年間の玉井式だけでその後塾に行かず、神戸大学に現役合格した卒業生がいる。玉井式だけで図形問題など難なく解けるようになったそうだ。実際、玉井式受講の有無で進学率に大きな差が出ているとのことだ。
■代表事例発表6
株式会社成基 TAM
幼児向けアプリASOBI AAA+
ASOBI AAA+は成基の幼児教育部門TAMに協力を仰ぎ開発した幼児向けアプリだ。AI、Animation、ARと+テキストという意味がある。アプリではまず、学習する単元を選ぶ。予め目安となる単元が設定されており、進めて行くとAIが子どもの理解力を判断し、レベルに合わせた出題をしてくれる。問題の中では導入映像とヒント映像があり、AR機能は積み木などの具体物を使った入り込みやすい動画になっている。鉛筆を持ち思ったところに正しく線を引く、紙をしっかり抑えて紙が破れないように消しゴムを使うなど、文筆力が問われる部分はテキストを使った学習で対応している。
小学校受験では思考力、数量、図形、言語、記憶の分野を中心にこれまでに身につけた知識や感性、考える力、イメージ力など子どもの持つ基礎能力を測るテストがメインだが、これらの能力は本来、全ての幼児が就学までに身につけたい学びの基礎力のはずだ。小学校受験をする・しないに関わらず、就学前児童に使わせたい教材である。
代表事例発表7
株式会社全教研
今の時代にぴったりな習い事Eeそろばん
全教研で導入している玉井式のEeそろばんは小学3年までが対象学年。子どもにさせたい習い事の中でそろばんはいつも上位に上がっている。ラインナップは以前とあまり変わっていないのは、そろばんが数字による情報処理トレーニングになるということが大きい。数の感覚、量感が身に付く上、頭の中でイメージすることでひらめき力と発想力を養う。また、指先を使うことも発達に良いと言われている。しかし、そろばんは週1、2回程度ではなかなか身に付かない。忙しすぎて時間が取れない子どもたちにぴったりなのがEeそろばんだ。Eeそろばんなら通塾は週1回でOK。日々の積み重ねが大切なそろばんもタブレットならいつでもどこでも復習できる。珠の入れ方ややり方は動画で学習。段階ごとのテキストや進級式で達成感が得られるようになっている。珠算検定や暗算検定に進みたい方は近くのそろばん教室へ、玉井式特有のカリキュラムによるイメージング力や計算力を身につけたい方にはEeそろばんを勧めている。そろばんを始めるベストなタイミングは年長児の12~3月。小学校に入学する前の準備の一つとして、小学校受験が終わる頃や就学時健診の際などが最適。次が入学と同時、または小学校に慣れてきた夏でも良いがあまり遅くなるとそろばんを使うのではなく暗算で計算してしまい、上達が遅くなる傾向にあるので注意が必要だ。
■代表事例発表8
株式会社市進ホールディングス パンセフロンティエル
玉井式チルドレン拡大中!
パンセフロンティエルは玉井氏プロデュースによる低学年向けの講座。オンライン双方向型の授業で玉井式コンテンツをフル活用して運用している。国語的算数教室と魔法の国語をセットで受講する生徒が多いそうだ。
市進学院に通う小4~6の中で低学年から入会した割合を調べたところ、小6で16%、小5で26%、小4は34%であった。受験準備が低年齢化していることも理由の一つだが、玉井式の魅力的な教材とカリキュラムが首都圏の顧客にも広く浸透していることの表れでもある。実際、市進グループでは国語的算数教室は約700名、図形の極は約2000名の受講者がいる。塾内テストの成績上位者のうち、低学年から始めている生徒は実数、割合ともに増加傾向にある。玉井式を受講している生徒は粘り強く、難しい問題でもしっかりとその場で考えるといった特徴がある。思考力が問われる中学受験ではそれが大きなアドバンテージになっている。時代がやっと玉井式に追いついたということだ。
■特許申請中の新システム
KIWAMI Tube
個別指導も簡単録画
「先生を持ち帰る」という発想
TIE社・久保駿太氏による特許申請中の新システム、KIWAMI Tubeの紹介があった。まず「玉井式はただの受験対策の教材ではなく世界標準の教育を意識したものである」と教材制作のコンセプトが語られた。玉井式は世界のどこの大学にもチャレンジできる教材をつくるべく、世界中の大学受験の研究、分析を進めるためのコンソーシア「TWELVE」を運営している。国ごとの問題対策やアプローチの違いを玉井式に落とし込んでいる。それをみると世界的にも読解力が求められる傾向にあることがわかる。日本も大学受験が変わりつつあるが、一方で従来の暗記や計算力に頼った教育を受けてきた層がまだまだ多いことから、受験生の多くが読解に苦しめられているとも言える。これは日本の教育のカリキュラムエラーから生じることだ。例えば割り算。日本では低学年に対し「大きい数を小さい数で割る」問題しか出題しない。また、9÷2を「4余り1」と書く。割り算とは本来、同じ個数に分けるのではなく、同じ大きさに分けることだ。数学は世界共通であるはずなのに日本語を含む答えを割り算の答えとして最初に教えてしまうことが問題なのだ。割り算のイメージができないまま高学年に進んだ結果、小学生の多くが割り算のイメージを持たないままとなっている。例えば6年生を対象にした学力テストで「500mlのジュースを2つにわけたとき、果汁の割合はどうなりますか?」という問題の正答率は21%。子ども達の多くが「果汁の割合は減る」、または「増える」と回答したのだ。
現在、教育分野でAIが多く使われるようになってきた。教育におけるAIの最も友好的な活用法は苦手分野の特定だ。しかし、現在のAIでは数学力が足りないのか、読解力が足りないのかが判断できないという問題が生じる。足りないのは数学力か読解力かを判断するには皆が同じ教材を使って学習する必要があるのだが、日本の学校で使用される教科書をみてもこのハードルが非常に高すぎることがよく分かる。
玉井式は日本中、世界中の子ども達が同じ問題を解いている。より多く、より正確な、よりグローバルなデータを集めることができる。これが玉井式の母数の考え方だ。次にデータの取得方法。玉井式ならヒントを見たかどうか、解説映像を何回見たかを知ることができる。ヒントを何度も見て正解を出した場合、ヒントを一度も見ずに正解した場合、現在のAIでは正答率しか見ないため同じ扱いになる。ヒントをたくさん見た子はきっとこの分野が苦手だし、本来なら何度か同じ分野を繰り返した方が良いはずだ。しかし、世界ではこのデータの取得方法がないのだ。AAA+に搭載されているAIは正答率に加えてヒント映像を見たか、何回見たかというデータも合わせて収集している。子どもがその分野を得意としているのか苦手としているのかを判断する。このAIで弊社は特許を取得している。よりたくさんの、より高品質なデータを集めていくことで、教育的価値があるAIを作っていきたい。そう考えて開発している。
今回玉井式は初めて、教材ではないサービスをリリースする。それがKIWAMI Tubeだ。生徒に説明をしながらノートに式やグラフなどを書いていく…よくある個別指導の授業風景だが、これが映像として残るならどうだろうか。特殊なペンを使うことでノートに書いた文字やグラフがiPadに表示され、音声を含む映像とともに保存されるのが今回リリースされたKIWAMI Tubeだ。個別指導の様子がノートに書いた情報とともに完全に記録できる。動画は生徒と管理者にも送られ、いつでも見返すことができる。帰宅して家庭学習に使うことも、しばらく経ってから振り返りとして使うことも可能だ。管理者が講師の授業内容を把握できるだけでなく、優れた授業を社内で共有することで講師の研修にも使える。個別指導の難点は授業がブラックボックス化することだった。保護者が見ることで、塾への信頼にも繋がっていくだろう。教育全体をアップデートし、より価値がある教育を提供できることに繋がると確信できたからこその開発だ。次に個太郎塾と個別館によるモニターとしての採用事例を紹介する。
■代表事例発表9
株式会社市進ホールディングス
個学舎・個太郎塾
KIWAMI Tubeは復習への活用が効果的
今回、個太郎塾でKIWAMI Tubeを導入した際の事例を紹介する。個太郎塾は大学生の先生が1対1または1対2で小学1年から高校卒業生までを対象に1回80分の授業を行っている。最初に宿題のテストと前回の内容についての確認テストを実施し、その後授業に入る。そしてその日に行った単元の復習がまた宿題となる。しかし、実際には「前回の内容を忘れたので家で宿題ができなかった」という声がある。授業後、帰宅してすぐに復習できれば良いがそういう生徒ばかりではない。結果、次の授業で前回の復習をすることも多くなるのだが、中学生や高校生になると先生の説明の時間も長くなるので授業の時間が足りなくなってしまうのだ。他にもノートを綺麗に書きたいという生徒は先生の板書を丁寧に書くため時間がかかることがある。板書を写真で取れば良いのだろうが、授業時のスマートフォン使用はリスクがあるため許可できずにいた。KIWAMI Tubeは授業の流れを変えることなく録画できるため負担はほぼない。帰宅した生徒が動画を見ながら学習内容を振り返り、復習が確実にできることは、社内で抱えていた課題を一気に解決するものだったとのことだ。
■代表事例発表10
株式会社アップ 個別館
KIWAMI Tubeで授業の質向上にも期待
個別館は小学1年生から大学生まで、学校のテスト対策から難関レベル大学受験までのオーダーメイド個別指導だ。先生が板書しながら説明するとノートを取ることに時間を取られてしまうことから事前に必要事項を書き込んだレクチャーノートを用意し、指導を行っている。板書に代わり講師が説明しながらノートを書き上げることで、生徒は理解に集中できるというもの。このノートを持ち帰り、自宅での復習に役立ててもらっていた。しかし、完成したノートだけを見返しても複雑な図形や計算がわからないという課題があった。KIWAMI Tubeの導入でノートを作る過程と音声、講師の身振り手振りまで録画できることから復習時の安心感へと繋がったとのことだ。英語に関しては発音も確認できるのも利点。必要なものはKIWAMI Pen、KIWAMI Note、iPadの3点のみで個別指導ブースでの撮影が可能。生徒や保護者だけでなく管理者、講師本人も確認できる。今後は授業の質向上や学力向上にも大いに期待できるとのことだ。
■興味が広がる教科横断型教材
魔法の国語
次はTIE社、玉井聖美氏による「魔法の国語」の紹介だ。日本に暮らす私達にとって母語は日本語である。母語とは自分の思考となる言語であり、英語を学ぶ際にも日本語の読解力が重要になってくる。玉井式の「魔法の国語」には楽しく国語を学ぶための「魔法」が4つある。1つ目は新型コロナウイルスや国際宇宙ステーション、iPS細胞といったトレンドを抑えた説明文に江戸川乱歩作品、キャドック王国を舞台にした物語文など、子ども達の興味が広がり、自分で調べてみたいと思わせる長文問題だ。2つ目がリスニング読解。アプリで解く長文問題だが、レベルが3つに分かれており、自分のペースでリスニング能力を鍛えることができる。3つ目がアニメーションを用いた漢字学習だ。子ども達が最初に見るアニメーションでは、会話の中で使われる言葉と漢字が紹介される。子ども達はその言葉がどんな場面でどのように使われるのかを学びながら、音と目で漢字の形を見ることができる。暗記ではなく、言葉がどのように使われ、どのように表記されるのか、アニメーションによってインプットしてから書き取りをするので、より記憶に残るのだ。4つ目の文法も漢字と同じくアニメーションを使い、繰り返し無理なく出題している。対象学年は小1~小4だが、学年に関係なく進められるようGrade1~4と表記。年33回と紙のテスト、季節講習を用意しているとのことだ。
■代表事例発表11
株式会社アップ 開進館
魔法の国語に一工夫!
より読解力を高めるための質問タイム
開進館では学習面の指導はもちろんのこと、社会に出てからでも役立つように、靴を揃える、挨拶をする、片付けをするなど、しつけ面の指導も行っている。もともと国語的算数教室を導入しており、今春から魔法の国語を導入している。子ども達の学習の過程には「勉強が大変、おもしろくない」→「分かってきた」→「できるかも」→「できた!」の4段階がある。1段階目で勉強に対する拒否感があると大変苦戦するのだが、玉井式の教材はおもしろく、子ども達が慣れていくまでのサポートが強力だ。授業を受けた子ども達は楽しかった!また来たい!またやりたい!と言われることが多く大変助かっている。全然本を読まない、文章題が苦手、国語の成績が悪いなど、国語に対する相談は以前から多数あった。文章題が苦手といったケースでは国語的算数教室に案内していたが、「国語」を求める方の需要に応えられていなかった。
魔法の国語で採用されている文章は教える側も楽しくなる内容ばかり。説明文ではニュースや新聞で話題に上る事柄が紹介されており、物語文には玉井式の世界観であるキャドック王国の家族愛が反映されたものもある。中学校で習うような文法も出ており、「低学年の子にできるのかな?」と思うこともあるが、できているから正に魔法だ。使用場面を見てイメージしながら覚えた上で練習する漢字は定着率も良いという。
そんな開進館では読解力を高めるためのちょっとした工夫を行っている。物語文を解く前に質問タイムを実施するのだ。誰が出てきた?どんな人?その人はどんな気持ちかな?どうしてそんな気持ちになったの?○○くんはどうしてそう思うの?○○くんだったらどうする?といった感じだ。
これは読書が大好きだという有木映美香氏の経験に基づいたものだそうだ。彼女には毎週大きな図書館へ連れて行ってくれる父、本をたくさん買ってくれる祖父、クリスチャンであった祖母がいた。本に触れる機会が多く、毎日聖書を読んでいた祖母からは聖書の話をたくさん聞いていた。聖書の内容は難しいものだったが、祖母は上述のような質問をよくして来たそうだ。文章には書かれていないこと、登場人物の思い、自分だったらどうするかなど、深く考えるようになり、文章をしっかり理解するようになったという。これが今、開進館での指導に活かされている。
分科会、交流会、懇親会
教育の最終目標は子どもの人生が幸せなものになること
各塾から事例発表が行われた後の第二部では分科会として、テーマ毎に10のグループに分かれてのディスカッションが行われた。テーマは教材毎の授業・保護者対応や広報などについて。代表事例発表で登壇者らを中心に事例の詳細や質問、情報交換でどのテーブルも盛り上がりを見せた。また、今回発表されたKIWAMI Tubeのテーブルも設けられ、システムの詳細説明やデモも行われた。来賓を含む、分科会には参加しない方のために別途交流会が開催され、こちらも大いに盛り上がった。
第三部の懇親会では(株)全教研の柴田耕治氏が司会を務め、(株)未来教育舎の代表取締役・高林幸治氏による乾杯の発声で幕を開けた。乾杯の際には練成会の山本氏が考案した玉井式ユーザーが一つになるための玉井式専用のかけ声「3.2.4!玉井式!」が使われ、会場は笑いに包まれた。ちなみに玉井式専用のかけ声とはアントニオ猪木氏の「1.2.3ダー!」と同じリズムには玉井氏の名前、3(み)2(つ)4(よ)を当てたものだ。
SHIMON Group代表の川瀬憲司氏から玉井氏に向けてのメッセージがあった。SHIMON Groupは前回の研修会でサポートを引き受けた会社だ。前社長から経営を引き継いだ12年前、悩みを相談すると解決に向け積極的に動いてくれたという。「いつも『川瀬社長なら大丈夫。あなたにはあれだけ素敵な社員がいる。大丈夫』と言ってくれたその言葉があったからこそ頑張れた。人生で一番苦しいときに支えてくれた。だから今がある」と玉井氏の人柄がわかるエピソードを披露した。
今回の研修会のため玉井式のインド法人、タマイオネットム インディアの一部のスタッフが来日しているとのことで自己紹介と簡単なプレゼンテーションがあった。それぞれインドでの事業内容などを英語と日本語で紹介した。
最後に、玉井氏からお礼の言葉があった。毎回、研修会の前には、ご参加いただけるのか不安になりましたが、大勢の方が参加してくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。15年前、大学生の娘とパートスタッフで作った教科書準拠でもない無名の教材を多くの教育者が採用し、ここまで育ててもらった。インド法人も今は州立大学などからオファーをもらうようになったが、当時は無謀な挑戦だった。2012年当時、「これからの世界は人口が増え続けている中国とインドが世界のリーダーとなる」と考え、英語バージョンの図形の極だけを持ってインドまで行った。これからの子ども達は海外に出なくても世界に巻き込まれる。インドという国の教育現場に実際に深く入り込み、その国のトップや校長、現場の教務の方々とディスカッションしないと分からないと思った。自分の知ってる範囲だけで教材を作ってはいけないと考えたからだ。今まで支えてくれた方々にどんな恩返しができるのか、いろいろ考えるが自分にできることは「良い教材を作ること」しかないという。教育の最終目標は「子どもの人生が幸せなものになること」。今後もより良い教材を、子ども達が幸せになれる教材を作り続けるとのことだ。