
教育資源としての民間教育 第86回
公益社団法人 全国学習塾協会 安藤 大作 会長
新年度を迎えて 学習塾業界の使命
桜が咲き誇る季節、新たな年度が始まりました。全国の塾経営者の皆様におかれましては、新しい生徒を迎え、改めて教育の価値を実感されていることと思います。全国学習塾協会も、今年度も引き続き、業界の健全な発展と子どもたちの未来を支えるために邁進してまいります。
ここ数年、塾業界は急激な変化に直面しています。少子化の影響による市場規模の縮小、AI技術の進展による教育手法の革新、そして「こども性暴力防止法の立法」など、塾経営に関わる新たな制度への対応が求められています。また、学校との連携や自治体との協力体制の強化が進む一方で、公教育との棲み分けや役割の明確化も必要とされています。
このような環境の中で、学習塾が果たすべき役割はますます重要になっています。全国学習塾協会は、単なる業界団体ではなく、塾経営者が社会的責任を果たしながら成長できる「場」としての役割を担っています。教育は未来を創る重要な基盤であり、私たち塾業界も、その一端を担う責任を再認識しなければなりません。
昨年度、当協会は「こども性暴力防止法」に関する意見を国に届け、塾業界の実態を反映させるための活動を行いました。今年度も、学習塾の安全性と信頼性を高めるための取り組みを継続し、業界全体の質の向上を図っていきます。また、学校教育との協力関係をさらに深め、放課後学習支援や地域密着型の学習サポートの充実を目指します。
AI技術の進化により、オンライン教育や個別最適化学習の導入が進んでいますが、学習塾の本質は「人と人との関わり」にあります。子どもたちが安心して学べる環境を提供し、学ぶ意欲を引き出すことこそ、塾が果たすべき最大の使命です。教育のデジタル化を進めながらも、「人の温かみ」を大切にした教育を追求していきたいと考えています。
新年度を迎え、私たち全国学習塾協会は、業界全体の発展と社会的信頼の向上に向けて、引き続き活動を続けてまいります。塾経営者の皆様にも、ぜひ業界の未来をともに考え、より良い教育環境を築くための一翼を担っていただければと思います。
本年度も、どうぞよろしくお願い申し上げます。