
産業と会社研究シリーズ 2018年度版フランチャイズ
今野篤 著 産学社 刊 1,404円(税込)
今や、あらゆる業界に定着した感があるフランチャイズ。直近の調査でフランチャイズ全体の市場規模は25兆円に迫る勢いで、この10年間の売上高成長率は123%に上る。同様にFC本部数は1300以上、フランチャイズ店舗数は26万件に達し、ともに10年前に比べ1割増えた(日本フランチャイズ協会調べ)
FC本部数では、外食業とサービス業が際立って伸びており、その原動力となったのがラーメン、学習塾・カルチャーセンター、美容・理容だろう。
学習塾はフランチャイズとしては数百万円からと比較的低資本で開業でき、特に2009年のリーマンショック後に加速度的に増えている。これはフランチャイズが、定年退職者と合わせて早期退職者の受け皿になっているとも考えられる。少子化の影響で市場の縮小が予想される中、積極的に展開する個別指導型学習塾や学童保育、幼児教育を中心に2015年の売上高は前年比+5.6%と伸ばした。学習塾・カルチャーセンターのFC本部数は、この10年間でほぼ倍増の90となった。
本書でも成長する教育FCとして、英語教室との併設ができる「ECCの個別指導ベストワン」、教材力に定評がある「幼児教室コペル」、予備校生まれの「城南コベッツ」、デジタル型自立学習「松蔭塾」が紹介されている。
しかしこのような高成長とは裏腹に、ひとたび現場に出れば苦悩に満ちている。フランチャイズ業界に興味がある加盟・就職希望者、将来FC本部を立ち上げたい方は必見、本書がフランチャイズの裏と表を読み解く。
もはやフランチャイズを知らない人はいないが、この少し特殊とも言える業界(業種)をきちんと理解している人は、いったいどのくらいいるのだろうか。
例えば、フランチャイズ=コンビニもしくは飲食。
これは半分YES。今やフランチャイズはあらゆる業種に浸透しており、特にコンビニや学習塾といった小型店舗型フランチャイズは、私たちの生活圏内まで入ってきている。今後はさらに多くの業種でフランチャイズ化が進み、フランチャイズは生活インフラビジネスと言ってもよい時代がすぐそこまで来ている。
次に、フランチャイズ=成功確率が低い。
これは半分YES。今やフランチャイズはあらゆる業種に浸透しており、特にコンビニや学習塾といった小型店舗型フランチャイズは、私たちの生活圏内まで入ってきている。今後はさらに多くの業種でフランチャイズ化が進み、フランチャイズは生活インフラビジネスと言ってもよい時代がすぐそこまで来ている。
次に、フランチャイズ=成功確率が低い。
これはケースバイケースだ。FCブランドと加盟者との相性や、加盟者に求められるスキルがまちまちだからである。ミスマッチがないように下調べは入念に。またFC本部に加盟者を支援するシステムがあるのか。そのためにFC本部を見抜く眼力が必要となる。そもそも一般的に起業した場合、その5年後の生存確率は10%を切ると言われているぐらいだから、これはFCに加盟しようがしまいが起業後、安定して経営することは難しい。起業するだけなら簡単だが。
そして、フランチャイズ=悪徳。
残念ながら完全否定できない。加盟当初だけ対応して、その後加盟オーナーを放置するFC本部は存在する。時には訴訟問題まで発展することもある。加盟希望者や就職希望者は後悔しないように、必ず事前に店舗見学しよう。できることならば1店舗だけでなく数店舗を、さらに抜き打ちで。一方FC本部は、加盟希望者に胸を張って紹介できる店舗づくりに励んで欲しい。
本書の第1章では現在フランチャイズの現場で活躍しているオーナー、開発、スーパーバイザーのキーパーソンを、第2章ではFCビジネスをフランチャイザー(FC本部)とフランチャイジー(加盟者)それぞれの側面から、第3章ではあらゆるFC市場の最新動向を紹介している。ぜひ本書を通じてフランチャイズの理解を深めて欲しい。