いじめからは夢を持って逃げましょう!
本書は「いじめ被害者」がとり得るべき一つの方法として「夢を持って逃げる」を中心に展開しました。必要な章から読んでもらっても構わないように構成し、さらに現実に功を奏した実例をふんだんに踏まえて書きました。本書コラム欄には、市進ホールディングス・下屋俊裕社長、サイタコーディネーション・江藤真規代表、臨床心理士で聖徳大学准教授の石川満佐育先生にご登場願い、現実的で含蓄のあるお話を伺い載せさせていただきました。
本書を書くきっかけとなったのは、大学で行われた教員免許状講習授業後の出来事でした。一日の講習終了後、講師を務めた私のもとへ何人もの先生方から言われました。「長野先生、講習で教えていただいた〝いじめ問題への効果的対応について〟は、本になりませんか?私たちは学校に今日の教えを持って帰り共有しますが、本として世に出した方がより多くの先生や保護者のみなさんに読んでもらえて、〝大人が子どもを救う〟が徹底できると思います。死を選択せざるを得ない子を救いたいと、私たち多くの教師は思っていますが、自己保身でいじめ自体を隠したいという人たちが学校にいるのも事実です。先生が話された通りです。そういう人たちにも目を覚ましてもらうきっかけにもなると思います」と。
その後、話は教育委員会や文部科学省についてまで広がり、教室を出たのは講習3時間後でした。いじめによる自殺件数は減ることなく増え続けています。子どもを救うことのできない教育機関、いじめ問題を隠し通せないのに隠し通そうとする教育機関の存在が原因の一つであると調査研究から明らかになっています。
どうしたらいいのでしょうか?特に我が子がひどいいじめにあったら、またはあっていたら、どうしたらいいのでしょうか?「大人が子どもを救ってあげましょう。夢をもって子どもを逃がしてあげましょう」。ただ単に逃がすのではなく、夢をもって逃がします。さらに、その後一定期間ケアをしなければなりません。これらは学術的に証明されています。わかりやすいように具体的例を豊富にし、図式化して書きました。
「いじめに負けるな。いじめっ子と戦え」という大人がいますが、勝ち負けという問題ではなく、子どもが最悪の選択をしないようにしてあげるのが大人の役割です。勝ち負け問題に持って行ってしまうと、問題を解消できなく苦しんでいる子どもに丸投げしていることになります。これ以上苦しめるのでしょうか? 助けてあげましょう。
いじめ0の小学校、子どものために地域でセーフティーネットを構築しているところの実例も書きました。「どうしたら?⇒こうしたらどうでしょうか!」に満ちた本です。ご一読くだされば幸いです。