塾の日シンポジウム 2017 佐賀大会
故きを温ねて新しきを知る幕末・維新から150年
平成の今、輝く未来を高らかに語ろう
10月9日(月・祝)ホテルニューオータニ佐賀において公益社団法人全国学習塾協会主催の「塾の日シンポジウム 2017佐賀大会」(後援・経済産業省、文部科学省、佐賀県、佐賀県教育委員会、佐賀市教育委員会、全国塾コンソーシアム協議会)が盛大に開催された。
第1部は記念式典で、例年のメインイベントである自主基準遵守塾表彰、読書作文受賞者表彰が行われ、第2部の特別講演では、佐賀県出身の宮園浩平氏(東京大学大学院 医学系研究科 分子病理学 教授)が「世界のがん研究の現状と将来の方向性〜近代日本医学に果たした肥前国(佐賀藩)の役割〜」をテーマに講演。第3部の交流会では、宮園教授を囲んで塾・学校・企業・医師界など、異業種が交わって情報交換などを行った。
(公社)全国学習塾協会の2つのミッション
第1部の記念式典は、全国学習塾協会・野中績宏理事の開会の辞で幕を開け、同協会・安藤大作会長が式辞を述べた。その中で安藤会長は、同協会の2つのミッション──「学習塾が成熟した産業としてコンプライアンスを重視した高い品質を確保すること」「学習塾は民間の学力向上を推進する資源があること」──について語った。
前者については具体的には、「学習塾における労働環境の健全性の確保」に積極的かつ意欲的に取り組んでいる真っ最中で、求職者などが安心して仕事ができる環境を整備するために厚生労働省及び文部科学省が学生アルバイトの労働条件に関する共通課題をまとめた自主点検表に沿って認証基準を作成し、「安心塾バイト認証制度」を運営。また経済産業省からは、消費税の円滑かつ適正な取り扱いについて要請され、適切な措置を講じるよう、正会員事業者に周知徹底を依頼しているという。
後者については、すでに全国で700カ所にも及ぶ公教育との連携が行われているが、今後もより多くの民間教育事業者団体、自治体との連携、協同を進め、学びの分野において最大限の支援をしていきたいと述べ、「今まさに、2つのミッションの真価が問われる時代が到来したと言っても過言ではありません」と語った。
中垣量文 実行委員長が挨拶すると、来賓の祝辞では、経済産業省 商務情報政策局商務・サービスグループサービス政策課長の守山宏道氏、文部科学省 生涯学習政策局 生涯学習推進課 民間教育事業振興室 室長の伊佐敷真孝氏、全国学習塾協同組合(AJC)の森貞孝理事長がお祝いの言葉を述べた。
自主基準遵守塾表彰と全国読書作文コンクール優秀作品表彰
来賓の挨拶が終わると、自主基準遵守塾表彰が行われた。特定商取引に関する法律が2001年5月が施行されたが、この法律に先立ち、(公社)全国学習塾協会ではこの法律に準拠する自主ルールを策定。それが「学習塾における事業活動の適正化に関する自主基準」だ。個人情報保護に十分な措置を講じている事業者にプライバシーマークの付与を、法律等の知識を十分に有し適正な顧客窓口対応及び社内研修のできる人材に法務管理者資格の付与などを行っている。
その後、全国読書作文コンクール優秀作品表彰が行われた。児童生徒に良書との出会いにより感動することのすばらしさを体得する機会を与え、豊かな感性を育むとともに、その感動を文章力・創造力の向上を図ることを目的として毎年開催されているもので、今年は27回目。今回は5701名から5701点の応募があり、塾内選考、支部審査、中央審査、最終審査等の各審査を経て、大賞2点、最優秀賞7点、優秀賞19点、特選72点、入選213点、キラリ賞7点が選ばれた。
表彰式が終わると、山下典男 副会長が閉会の辞を述べた。
宮園浩平 教授の講演
世界のがん研究の現状と将来の方向性
〜近代日本医学に果たした肥前国(佐賀藩)の役割〜
第2部の特別講演では、佐賀県出身の宮園浩平氏(東京大学大学院 医学系研究科 分子病理学 教授)が「世界のがん研究の現状と将来の方向性〜近代日本医学に果たした肥前国(佐賀藩)の役割〜」をテーマに講演し、東京大学医学部創始期における佐賀藩の役割、スウェーデンの大学・研究・社会、これからのがん研究、ゲノム医療と免疫療法などについて語った。
伊藤玄朴(いとうげんぽく)は幕末、長崎の鳴滝塾でシーボルトにオランダ医学を学び、日本で最初に天然痘を予防するための種痘を導入した人物。「1861年に現在の東京大学医学部となった西洋医学所を創設された方で、日本の西洋医学の発展に大きく寄与されました」と宮園教授は述べる。相良知安(さがらちあん)は幕末の佐倉順天堂と長崎で医学を学び、藩主鍋島直正の侍医となった人物。「明治維新後、日本の医学がどのような方向に向かっていくかを議論する際、ドイツ医学が日本人の気質に合っているし、将来の展望においても重要だろうということで、医学の方向性を決定する役割を担いました」。東京大学になる前の医学校の校長を務めるなど、様々な貢献をしたという。
宮園教授は1985年から8年ほどスウェーデンに留学。この頃のヨーロッパ、特に北欧の文化に触れたことは貴重な体験だったという。
1980年代半ばにはすでに消費税は25%で、来るべき高齢化社会を見据えた高度な福祉、医療制度、夫婦で育児休暇を取得するなど徹底した男女共同参画に驚いたとのこと。
宮園教授は、がんをつくる遺伝子と抑制する遺伝子の機能解明を目指したタンパク質「TGF─β(ベータ)」研究に30年以上取り組み、世界の第一人者として注目されている。「今も私はがんの転移を防ぐための様々な研究に取り組んでいますが、さらに今後はゲノム医療、免疫療法なども注目されてくるので、特に肺がんは手術以外の治療法も大いに期待できると思います」と語った。
第27回 全国読書作文コンクール大賞・最優秀賞受賞者 ●小学生の部 |
平成29 年度 自主基準遵守塾表彰一覧 アイ・アカデミー(群馬県館林市) |